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患者さまへ呼吸器内科
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2024.10.15
睡眠時無呼吸症候群 (SAS)とは
睡眠時無呼吸症候群 (SAS)ってどんな病気?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、眠っている間に呼吸が止まったり浅くなったりする病気です。
- 最も一般的なタイプは、喉の空気の通り道が狭くなることで起こる「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)」です。特に肥満の人、高齢者、男性に多く見られます。
- もう一つのタイプは「中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)」で、これは脳が呼吸の指令を出さないために起こります。心臓病や脳卒中の患者さんに多く見られる病気です。
SASの症状は?
- いびき
- 日中の強い眠気、疲れやすい、ぐっすり眠った感じがしない
- 睡眠中の無呼吸・あえぎ声
- 夜中に窒息感とともに目覚める
- 夜中に胃酸が逆流する
- 夜中の頻尿 (一晩に2回以上)
- 朝の頭痛
- 薬を飲んでも血圧が下がらない (治療に抵抗する高血圧)
SASを放っておくとどうなるの?
次のような健康上の問題が起こるリスクがあります。
- 過剰な眠気
- 仕事の効率低下
- 交通事故を起こしやすい
SASに合併しやすい病気
- 心臓病: 心不全・不整脈・心筋梗塞を発症するリスクが高まります。
- 高血圧: 50%の患者さんが高血圧を併発します。SASを治療すると血圧が少し下がります。
- 糖尿病: 糖尿病の発症リスクが3から1.6倍高くなります。
- 脳卒中: 脳血管障害の発症リスクが3倍高くなります。
- 突然死: 重症のSASの患者は、心臓病や脳卒中による突然死のリスクが3倍高くなります。
どうやって診断するの?
SASの診断には、睡眠中に呼吸の状態をモニターで測定し、1時間あたり何回呼吸が止まるか(無呼吸低呼吸指数: AHI)を調べます。主な検査方法は以下の2つです。
- 簡易モニター: ご自宅で簡単にできる検査です。入院して行うこともできます。AHIが40以上ならSASと診断できます。40未満の場合は、さらに詳しい睡眠ポリグラフ検査が必要です。
- 睡眠ポリグラフ検査: 最も信頼性の高い検査です。脳波、眼の動き、顎の動き、心電図、気流、呼吸努力、酸素飽和度を測定します。ご自宅で行うこともできます。1泊2日の入院で行うと、より正確です。
どうやって治療するの?
- CPAP療法: 最も一般的な方法です。夜間にマスクを装着して気道に圧力をかけ、空気の通り道が狭くなるのを防ぎます。当院で行うことができます。
- その他の治療: マウスピースを使う治療 (OA療法) や、耳鼻科的手術 (アデノイド肥大・扁桃肥大の手術)、顔面形成術などがあります。これらの治療は当院では行っていませんので、必要に応じて他の医療機関を紹介します。
治療で改善すること
SASの治療により、以下のことが改善すると期待されます。
- 日中の強い眠気
- 倦怠感
- 高血圧
- 交通事故のリスク
- 朝の頭痛
- 夜間の頻尿
- 夜中に何度も目が覚める
- 夜中に胃酸が逆流する
SASを放っておくと、生活や健康に悪影響が及びます。もし上記の症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
参考資料
1. 日本呼吸器学会 / 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業「難治性呼吸器疾患・肺高血圧症に関する調査研究」班 (監), 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020, 南江堂, 2020.
2. N Engl J Med 2005;353(19):2034-2041.
3. Lancet 2005; 365: 1046-1053
4. JAMA 2020; 323 (14): 1389-1400