お知らせ
2024.06.07
難治性喘息について
難治性喘息とは
難治性喘息は、高用量の吸入ステロイド薬 (ICS)と長時間作用型β2刺激薬 (LABA)を使用しても、症状がうまくコントロールできない喘息のことです。喘息発作の原因 (タバコや特定のアレルゲン)を避け、お薬を毎日きちんと使い、吸入薬を正しく吸っていて、合併症も適切に治療しているにもかかわらず、発作を繰り返します。喘息患者の4-5%が難治性喘息と推定されています。
どうやって治療すればいいの?
診断が正しいか確認します
喘息と間違いやすい病気や、喘息の治療を難しくする要因がないかを確認します。心不全、慢性閉塞性肺疾患 (COPD)、睡眠時無呼吸症候群、特定の薬剤の使用 (降圧薬・消炎鎮痛薬など)、呼吸器感染症 (肺炎、結核など)、肺がん、副鼻腔炎、逆流性食道炎 (GERD)などが該当します。
他のお薬を併用します
長時間作用型ムスカリン受容体拮抗薬 (LAMA)、ロイコトリエン受容体拮抗薬、貼り薬の気管支拡張薬、ステロイドの内服薬などを併用します。
生物学的製剤を検討します
特定の炎症物質に対する抗体を定期的に注射する治療です。現在 (2024年4月)、日本で喘息治療に使える生物学的製剤は5種類あります。それぞれの使用条件や効果が異なるため、呼吸器専門医やアレルギー専門医にご相談ください。
生物学的製剤の種類と効果
- ゾレア® (抗IgE抗体): IgEというアレルギーの原因となる抗体を抑えます。
- ヌーカラ® (抗IL-5抗体): 好酸球という炎症細胞の働きを抑えます。
- ファセンラ® (抗IL-5受容体抗体): 好酸球という炎症細胞の働きを抑えます。
- デュピクセント® (抗IL-4/13受容体抗体): 複数のアレルギー経路を抑えます。
- テゼスパイア® (抗TSLP抗体): 主にILC2という炎症細胞の働きを抑えます。
医療費の自己負担額を抑えるために
- 生物学的製剤は高価ですが、高額療養費制度や付加給付制度などを利用することで、自己負担額を抑えることができます。
- 高額療養費については、病院の窓口でもご相談頂けます。
- 厚生労働省のホームページ
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf
高額療養費のシミュレーション
- ゾレア
https://hajimete-xolair.jp/check.html?https://hajimete-xolair.jp/medical_expenses/simulator/index.html - ヌーカラ
https://gskpro.com/content/cf-pharma/health-hcpportal/ja_JP/interactive/isa/simulation.html - ファセンラ
https://www.539zensoku.jp/gairai/expenses/
- デュピクセント
https://www.support-allergy.com/payment
- テゼスパイア
https://www.zensoku-chiryou.com/tezspire/expenses/
参考資料
1. 日本呼吸器学会難治性喘息診断と治療の手引き第2版作成委員会. 難治性喘息診断と治療の手引き第2版: メディカルレビュー社; 2023.