お知らせ
2024.06.17
関節リウマチのお話
◆関節リウマチの疫学と原因
関節リウマチは高齢者がかかる病気と思われがちですが、30歳代と50歳代で発病のピークがあり、男性に比べ女性に3倍多く認められます。近親者(血縁)に同じように関節リウマチにかかっておられる方もおられ、遺伝的な要因が発症に関与していることがわかっています。しかしそれだけでは説明がつかないこともあり、環境的な要因(ウィルス、細菌感染など)も含め色々な発症を引き起こす要因が関与していると考えられています。まだはっきりした原因は分かっていません。
◆関節リウマチの症状と病態
関節リウマチは自己免疫疾患の一つで、色々な関節に持続性の炎症を引き起こす疾患です。自己免疫疾患とは本来、体内に入った細菌やウィルスを退治してくれる免疫機能がなんらかの原因で自分の身体を攻撃してしまう病気です。特に関節を中心に強く痛めてしまう病気が関節リウマチと考えていただけたら良いかと思います。したがって関節リウマチを発症しますと、一般的にあちこちの関節に炎症を生じ腫れて痛みが生じます。長期間、炎症が持続すると軟骨、骨の破壊が進み将来、関節の変化と機能障害が残ってしまうことがあります。最初に痛くなる関節は手の指の関節、手首が約90%を占め、次いで足の指の関節、足の裏、足首が約37%、膝関節が26%と、手足の関節が発症初期に痛みが出現しやすい傾向にあります(2010年リウマチ白書より)。
◆関節リウマチの診断
関節の炎症が続くと発症5年以内、特に2年以内に関節の破壊が急速に進行することが明らかになっており、関節破壊が進行すると、変形や機能障害が生じることがあります。これらをできるだけ残さないようにするため、早期に診断し治療することが重要になります。関節リウマチの診断は、血液検査、関節の腫れ、または痛みの部位、症状の持続期間を総合的に判断して診断します。
◆関節リウマチの治療
関節リウマチの治療は、まずお薬で関節の炎症を抑えてあげる必要があります。内服薬として抗リウマチ薬を中心にお薬を使用しますが、痛みが残っている関節がある場合や、色々な原因で抗リウマチ薬を充分に使用できない患者様については、非ステロイド性抗炎症薬、副腎皮質ステロイド薬を使用することもあります。また、病院に通院して行う点滴やインスリン注射などのように、在宅で自己注射が可能な生物学的製剤と呼ばれるお薬があります。このお薬は関節の炎症を強く抑える薬です。関節リウマチの治療の目的は、痛み、腫れを抑えることが重要なことは言うまでもありませんが、将来、持続的に関節の炎症を出現させずその状態を維持すること(寛解といいます)が重要です。生物学的製剤は高価なお薬ですが、その状態(寛解)を維持できるお薬です。手術療法は、関節が壊れていないときは関節を壊してしまう原因となる滑膜組織をとってしまう滑膜切除術、壊れた関節に対し人工関節や関節固定術があります。人工関節や関節固定術については、各関節によって使い分けて手術を行っています。理学療法については、痛んだ関節を温める温熱療法やリウマチ体操、関節が変形し日常生活動作が難しい状態を補うための補装具などがあります。
◆関節リウマチの治療目標と外来通院
関節リウマチの治療の目的は痛み、腫れを抑えることが重要なことは言うまでもありませんが、将来的に持続的に関節の炎症を出現させずその状態を維持し関節を壊さないことが重要です。そのため上述した生物学的製剤も含めた抗リウマチ薬を使用することとなるわけですが、免疫を抑える薬ですので感染症などの副作用や使用している薬による副作用がないかを1、2ヶ月に一回、来院して頂き、問診、採血、採尿を行い関節リウマチの関節炎を抑えられているかどうかも含めてチェックします。関節の変化についても病気の勢いによりますが、半年~1年毎のレントゲンチェックを行い関節が痛んでいるかどうかを定期的にチェックします。
◆関節リウマチと足の外科
当科では足の外科センター長・吉本医師を中心に足の外科を積極的に行っています。2010年リウマチ白書によると関節リウマチによる足趾の変形で靴の選択による悩みを抱えている人が77%にも及んでいるのが現状です。足部の痛みや変形については、なかなか相談に乗ってもらえないとの意見もあるようです。当科では自由診療も含めご自分に最適な足底板を作製し、適合する靴を推薦、あるいは作製しています。変形が強く足底板、靴、装具では対応が難しい症例については関節を温存した手術により足部の変形、痛みをとる手術を積極的に行っています。
- 6週間以上、持続する関節の腫れ、痛みがある
- 関節リウマチが心配
- 関節リウマチの変形、痛みや靴で悩んでいる
- 近隣に住んでおり、今後、関節リウマチの診察希望
以上に当てはまる方は是非お越しください。